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沙 の 夢  「はまなすの実」第一章-7

「おおい、ウミヒコ。ウミヒコってば。」
 ウミヒコはその声で膝から顔を上げた。すると、空にはさっきと同じ月があった。
月
「ウミヒコ。帰りが遅いから心配したんだよ。」
「あっ、キヌ婆様。」
 ウミヒコの身体を揺すっていたのは、彼の親代わりになってくれている、キヌという老婆の手であった。ウミヒコは怪訝そうにあたりを見回しながら言った。
「あれー、変じゃのー。」
「変なのはお前さんだよ! さっきからわけの解らない寝言を言うし、起きたら起きたで、なんだかきょろきょろしているし。」
 月明かりに照らされたキヌは、呆れたようにそう言った。それなら、今のは夢だったのだろうか。ウミヒコは、父母の姿を見掛けなかったかどうか思わずキヌに尋ねそうになったが、誰にも言わぬという父との約束を思い出して、ぐっと黙った。
「さあ、夕餉(ゆうげ)が出来てるよ。早く帰ろう。」
 キヌは優しくそう言ってウミヒコを立たせ、二人は月明かりの中、砂丘を越えて家路を辿った。 夜道

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