泳ぎが達者で、子供ながら漁師の仕事をよくこなす彼を、大人たちは可愛がったが、子供たちの反応はそれに反比例した。他所から来た者に慣れていないのと、話す言葉が違うせいもあり、ウミヒコは「よそ者」とか「親なし子」と呼ばれ、遊びの輪から外された。だから彼は、少しでも自由な時間があれば、自分が流れ着いたと思われるこの場所に自然と足が向いてしまうのであろう。
『きっと家族が自分のことを探しに来てくれるに違いない・・・。』
彼はいつもそう思いながら海を眺めているようだった。
そんな彼が海のことを忘れるときもあった。それは、彼を預かってくれている家の隣の家に住む、彼と同じくらいの年の、一人の少女を思っているときである。